テキヤの手伝いしてました

若い頃テキヤの手伝いをしていた頃の事を書こうと思います

テキヤの手伝いしてました3

テキヤの仕事は1年間のうちギュッとまとめると3ヶ月ぐらいしか仕事をしない

では残りの9ヶ月は何をしているのか?

それぞれテキヤの一家によって違うと思うが

私がいた一家ではダルマと熊手を作っていた

毎朝5時には起きて6時には会社兼工場に行き

6時半には仕事が始まる

それから黙々とダルマと熊手を作る。

そして仕事が終わるのが6時

週休2日制では無いため月曜日から土曜日まで6日間働いて貰えるお金は数千円

求人広告に載っていた日給1万5千円というのは大嘘

完全なブラックである。


それにしてもよくもまぁこんな仕事を続けられたもんだ

自分自身を褒めてあげたい。

テキヤの手伝いしてました2

なんだかんだ言って仕事の初日は緊張するものです

ましてや全くの未知の世界であるテキヤの世界 心臓バクバクで会社まで行きました

私の場合、自分の家から会社まで距離があった為  会社の建物の横にある寮で住み込みで働く事になりました。


自分の家で荷物をまとめ電車に乗って数十分

そこから更にタクシーに乗って数十分

やっとのことで会社に到着するとすでに2人の男が私を待っていました


1人が70代くらいの人、もう1人が体ガッシリした50代くらいの人で私がタクシーから降りると70代くらいの人が

[今日からウチで働く清塚さん?]

[はい、そうです清塚です、よろしくお願いします]

と、私が頭をさげると

[あぁ、よろしくね俺は平井と言います、コッチは佐藤と言います]

と、言うと50代くらいの体がガッシリした筋肉質の男が私に

[佐藤です、よろしく]

と、私に頭を下げた

[じゃあ、今から寮の方を案内するから付いてきて]

と、平井さんが言った

寮といっても会社同様ボロボロで今にも崩れ落ちそうな建物だが寮の中に入ると結構綺麗に整理整頓されていて中も広く部屋もいくつもあって平井さんも佐藤さんもこの寮で暮らしていた

[じゃあ清塚さんはこの部屋ね]

と、平井さんに言われ部屋に入ると6畳位はある部屋に案内された


[へぇ〜、結構広いし住みやすそうな部屋だな]

と、私が言うと

[今日は仕事はしなくていいから、今日の仕事はこの部屋の掃除だな俺たちも手伝うから]

と、平井さんが言った、その後 平井さんと佐藤さんと私の3人で部屋を掃除して仕事初日は終わった。

テキヤの手伝いしてました 1

私がまだ若かりし頃 仕事を探すため求人広告を見ていたら

製造業 時給1万5千円という求人募集があり

私はコレだとその会社に早速電話

今日中に面接に来てくれと言うことで速攻で会社へ

会社について見ると会社はボロボロで今にも崩れ落ちそうな建物

[この会社大丈夫か?]

と、見ていると建物の中から男が出てきた

40代後半の男で冬なのに真っ黒に日焼けしていた

[あの黒さは完全に日サロだな]

と思っていると男が

[面接の人?]

と、私に尋ねてきた

[はい、そうです]

と、私が言うとその男は

[じゃあ、中へどうぞ]

と、私を会社の中へ案内してくれた、建物の中に入るとすぐに長テーブルが置いてありそこに1人の男がふんぞり返って饅頭を食べていた、その男は私を見るなり私を睨みつけた。

男は60代半ば位でその男も40代の男と同様日サロで焼いたであろう真っ黒に日焼けした顔をしていた

[何だこの会社の連中は日サロが好きだな〜]

と、思いつつ私もふんぞり返って饅頭を食べている60代半ばの男をじっと見た

すると男はいきなり

[前科ある?]

[は?]

私はいきなりの男の質問にクエスチョンマークが頭に浮かんだ

[前科だよ前科お前前科ある?]

もちろん私は前科なんか無いので

[前科はありません]

と、答えると

[じゃあ合格 明日から仕事にきて]

[······························································え?。]

初めて経験するよく分からない面接に困惑する私

[あの〜履歴証は?]

[履歴証?そんなもんウチはいらねぇよ]

さすがに不安になった私は仕事内容を聞いた

[あの〜製造業と言う事なんですけど具体的に何を作るのでしょうか?]

[ダルマと熊手だよ]

[ダルマと熊手?]

[そう、ダルマと熊手ウチはテキヤだから]

[は?·······························テキヤ?]

また私の頭の中にクエスチョンマーク

そしてやっと理解した自分が騙されたことに

[あの〜時給1万5千円というのは?]

[時給1万5千円?何の話?]

[·······························。]

あまりの訳のわからない展開に私が唖然としていると

[まぁ〜なんでも経験だよ、自分に合わないと思ったら辞めればいいからとりあえずやってみ]

そう言うと饅頭を食べながらふんぞり返っている60代半ばの男は大笑いした。

[······························。]


そんな感じで私のテキヤ生活が始まった。