テキヤの手伝いしてました 1
私がまだ若かりし頃 仕事を探すため求人広告を見ていたら
製造業 時給1万5千円という求人募集があり
私はコレだとその会社に早速電話
今日中に面接に来てくれと言うことで速攻で会社へ
会社について見ると会社はボロボロで今にも崩れ落ちそうな建物
[この会社大丈夫か?]
と、見ていると建物の中から男が出てきた
40代後半の男で冬なのに真っ黒に日焼けしていた
[あの黒さは完全に日サロだな]
と思っていると男が
[面接の人?]
と、私に尋ねてきた
[はい、そうです]
と、私が言うとその男は
[じゃあ、中へどうぞ]
と、私を会社の中へ案内してくれた、建物の中に入るとすぐに長テーブルが置いてありそこに1人の男がふんぞり返って饅頭を食べていた、その男は私を見るなり私を睨みつけた。
男は60代半ば位でその男も40代の男と同様日サロで焼いたであろう真っ黒に日焼けした顔をしていた
[何だこの会社の連中は日サロが好きだな〜]
と、思いつつ私もふんぞり返って饅頭を食べている60代半ばの男をじっと見た
すると男はいきなり
[前科ある?]
[は?]
私はいきなりの男の質問にクエスチョンマークが頭に浮かんだ
[前科だよ前科お前前科ある?]
もちろん私は前科なんか無いので
[前科はありません]
と、答えると
[じゃあ合格 明日から仕事にきて]
[······························································え?。]
初めて経験するよく分からない面接に困惑する私
[あの〜履歴証は?]
[履歴証?そんなもんウチはいらねぇよ]
さすがに不安になった私は仕事内容を聞いた
[あの〜製造業と言う事なんですけど具体的に何を作るのでしょうか?]
[ダルマと熊手だよ]
[ダルマと熊手?]
[そう、ダルマと熊手ウチはテキヤだから]
[は?·······························テキヤ?]
また私の頭の中にクエスチョンマーク
そしてやっと理解した自分が騙されたことに
[あの〜時給1万5千円というのは?]
[時給1万5千円?何の話?]
[·······························。]
あまりの訳のわからない展開に私が唖然としていると
[まぁ〜なんでも経験だよ、自分に合わないと思ったら辞めればいいからとりあえずやってみ]
そう言うと饅頭を食べながらふんぞり返っている60代半ばの男は大笑いした。
[······························。]
そんな感じで私のテキヤ生活が始まった。
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